むし歯の治療

むし歯について

日本人の歯を失う原因の2番目はむし歯です。むし歯になり一度削ってしまった歯は二度と元には戻りません。むし歯の治療といっても、あくまで、むし歯の部分を削り、削ったところを金属やプラスチック、セラミックなどの人工物で補います。つまり再治療を繰り返すことになると、どんどん天然の歯の部分が無くなり、最終的には抜歯になってしまうのです。このことからも、どうしてむし歯になるのかを理解し、むし歯にならないようにする、むし歯を再発させないようにすることが非常に重要になることがわかります。
では、むし歯になるメカニズムはどのようなものなのでしょうか。

むし歯のメカニズム

お口の中には、むし歯の原因となる細菌である「ミュータンス菌」がいます。ミュータンス菌は、糖分を餌にして増殖します。増殖しながらネバネバした物質を出し、バイオフィルム(バリヤーのような役割)を作ります。バイオフィルムに守られながら、歯周病菌など様々な細菌が増殖し「プラーク」となります。
そして、ミュータンス菌は「乳酸」を作り出します。この乳酸がバイオフィルムの中で守られながらたくさん作られてしまうと、歯のエナメル質は溶かされてしまいます。どんどんエナメル質が溶かされて穴が開いてしまった状態のことを「むし歯(う蝕)」といいます。

 


脱灰と再石灰化

しかしちゃんと人間にはエナメル質が溶かされる一方にならないような仕組みが備わっています。食べて、ミュータンス菌が糖分を利用して、エナメル質が溶かされるという事(脱灰)だけでなく、溶かされた部分を元にもどそうとする(再石灰化)働きがあるので、脱灰と再石灰化が同じだけ行われたとしたら、むし歯はできないのです。

しかし、飲食の回数が多くなると、お口の中が酸性になる時間、脱灰の時間が多くなってしまうので、再石灰化が十分に行われず、むし歯ができやすくなるのです。

これらのことからも、むし歯にならないようにするためには、ブラッシングだけでなく、食事の回数や内容が大切になることがわかります。

むし歯の進行

むし歯はその進行の度合いに応じ「C0」「C1」「C2」「C3」「C4」という段階に分けられています。ちなみに「C」は「カリエス(Caries)=むし歯」の頭文字です。

C0(初期のむし歯)

「C0」は、少しだけ歯の無機成分が溶け出している状態で、まだ穴が開くところまでは進んでいない、ごく初期のむし歯です。「C0」では、歯を削らなくても健康な歯の状態に戻すことも可能です。

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C1(エナメル質のむし歯)

「C1」は、エナメル質が溶けはじめたむし歯です。エナメル質には神経がないため痛みはありません。自覚症状がないので、歯科医院で定期検診を受けていないと見過ごしてしまいがちです。「C1」では、むし歯の部分を削る必要があり、削った部分には、詰め物(インレー)や、被せ物(クラウン)をします。

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C2(象牙質のむし歯)

「C2」は、象牙質にまで達したむし歯です。黒っぽく穴が開いたりしているので、見た目にもわかります。歯がしみたり痛んだりもします。「C2」では、むし歯の部分を削り、削った部分には、詰め物(インレー)や、被せ物(クラウン)をします。

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C3(神経に達したむし歯)

「C3」は、歯の神経である「歯髄」にまで達したむし歯です。むし歯が歯髄に達することで、神経を刺激するため、痛みも強くなります。あまりの痛みに麻酔も効きずらくなることもあります。「C3」では、神経を取る治療(根管治療=歯内療法)を行い、残った歯の根を利用して土台(コア)を立て、その上に被せ物(クラウン)をします。

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C4(根の部分しか残っていないむし歯)

「C4」は、歯の見える部分がほとんど無くなり、根の部分(歯根)しか残っていないレベルのむし歯です。神経(歯髄)も死んで腐敗してしまい、ウミが出る場合もあります。歯根まわりにまで炎症が及んで、歯槽骨が溶けて熱が出ることもあります。「C4」では抜歯せざるを得ないケースが多くなります。

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